▼ 裁決事例集 No.49 - 145頁 一団の土地を取得し、順次、同一人に譲渡する旨の契約に基づき土地を譲渡した場合で、約定土地のすべてを譲渡できないときは買主の要請により買戻義務が生ずる旨の特約があっても、棚卸資産である土地の譲渡に係る収入金額を計上すべき時期は、当該土地の引渡しがあった日であり、その引渡しの日がいつであるかは、売買代金の受領状況や移転登記時期等の諸事情を総合勘案して判断するのが相当である。 土地を購入する契約を締結して支払った本件手付金に係る損失については、請求人が契約の支払期日までに残金債務を履行しなかったため、本件手付金を没収されたものと認められるから、残金債務の支払期日である昭和63年12月7日ないし売主から契約破棄等の意思表示のされた同月9日に確定したものとするのが相当である。 本件株式の評価損については、本件株式の発行会社である各社が請求人の事業に係る取引先であることを認めるに足りる証拠はなく、本件株式が請求人の事業の用に供されたとはいえないから、本件株式の評価損が生じたとしても、それを必要経費に算入することはできない。 請求人は、事業廃止後の費用発生額を必要経費に算入すべき旨主張するが、所得税法第63条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)の規定に該当する事実が発生した場合には、所得税法第152条の規定により、更正の請求をすることができる旨定められているのであるから、事業廃止後の費用発生額は、所得税法第152条の規定による更正の請求により処理すべきであると解するのが相当であり、更正の請求を経ていない本件においては、これを必要経費に算入することはできない。 平成7年2月3日裁決 |
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